我が家のカレー

1999年11月30日
「おせちに飽きたら、カレーもね!」
西城秀樹が言っていたテレビコマーシャルのこのフレーズ、覚えておいでですか?今回、このコラムを執筆するにあたって、改めて調べてみたのですが、これはボクの記憶違いのようでした。秀樹は、こんなことを言っていないようです。また、このフレーズも正確ではありませんでした。正解は・・・

「おせちもいいけど、カレーもね!」で、初めてこう言ったのはキャンディーズ、実に今からちょうど40年前のこと、ハウス・ククレカレーのコマーシャルでした。記憶は随分と薄れてきましたが、それに伴い、正月三ケ日にカレーを食べてももう誰も眉をひそめることはなくなりました。カレーは国民食の一つとなったからです。

しかし、かつて家で食べたカレーは、今のカレーとは随分と違っていたと思います。名付けるなら「ハウス・ハハノカレー」。漢字に変換して書くと「我が家・母のカレー」。
嗚呼、実にシャブシャブで、トロリとした感じなど微塵もありませんでした。もう完全に液体。言わばカレー“汁”でした。またカレーの主役であるはずの肉はと言えば、薄切り肉。薄切り肉って、スプーンじゃ食べにくいのですよ、ビヨ〜ンと伸びるから。

なので、我が家の食卓にカレーが出される度に、スプーンと一緒にお箸も一緒に並べられていたのです。カレーは、スプーンだけで食べられるもの、カレーは、汁と呼ばれるのではなくルーと呼ばれるもの、カレーには、薄くスライスされた肉ではなく、肉の塊を入れるものだと知ったのは、随分と大人になってからだと思います。しかし、当時はご馳走でした。シャブシャブ・ビヨ〜ンのカレーが。さらに、そこに生卵を割って入れるものだから、シャブシャブ・ビヨ〜ン、そしてズルズルのカレー。でも、それが本当に美味しかったのです。


さて、皆さんはご存知ですか?
俵万智さんの短歌「『この味がいいね』と君が言ったから七月六日はサラダ記念日」。実はこの歌、本当はサラダを作ったのではなく、“カレー”風味の鶏のから揚げを作ったところ、それを彼が褒めてくれたので、その時の喜びを表したものだったことを。

流石にカレー風味の鶏のから揚げでは、短歌には成らなかったので、サラダに置き換えられたのです。しかし、カレーそのものを作って彼に出していたら、さて、彼は何て言ったのでしょうか?「あれ、これ、うちのカレーと違う」と言ってしまっていたかも。そう、男の子は、いつまでも我が家のカレーが一番好きなのですから。

(By エッセイシスト・KUNI61)

更新日: 2016-02-02 09:21:08