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思い出の食〜半径1.6メートルの記憶〜

1999年11月30日
「思い出の食〜半径1.6メートルの記憶〜」

ボクは、今年の10月3日で54歳になります。
計算すると、実に1万9700余日生きたことになる。
その間、一日に3食食事をするとして、合計5万9000食。
例えば、80歳まで生きるとすれば、
一生の間に、8万7000食も食することになるのです。
いやはや。
生きると言うことは、食べると言うことに他なりません。
しかし、そのうち、どれだけの食を覚えているのでしょうか?
80歳だった母は、亡くなる4日前に「カツ」が食べたいと言いました。
3日前には「シュークリーム」が食べたいと言いました。
そして、2日前には「鰻丼」。
なんともまぁ、これだけ脂っこいものばかりを挙げたなと思いますが、
どれも、シッカリと、一口ずつ食べていました。
そして、食べるだけ食べると
「後顧に憂いなき」と言って、彼岸の人になりました。

滑稽だけど、温かい。そして、間違いなく良き最期だったと思います。
さて、ボクは、臨終の瞬間、果たして何を家族にねだるのでしょうか?
蕎麦かな。

中学生の時に、信州は松本駅の駅前で食べた蕎麦は、美味かったなぁ。
麺のコシが…とか、出汁の味が…とか、ではなく、
何か口の中に“春”が広がったような記憶があります。
あれは何の味だったのかな?
ネギかなぁ。

となると、蕎麦が主役ではなく、ネギが主役だったんだ。
ネギだけを人生の最期に味わってもなぁ。
う〜ん。

そんな“思い出の食”を自らの記憶の中から紡ぎ出してみたいと思います。

自らの手の届く範囲の記憶の中から、今一度“思い出の食”と言うのを再発見したいと思います。
そう、ボクが両手を広げても、僅か1.6メートルほど。
その半径1.6メートルの記憶の中から、思い出の食をピックアップしていこうと思います。
さて、何が出てくるのでしょうか?

ところで、皆さんにとっての“思い出の食”とは何ですか?
「おむすび」「お茶漬け」「タクアン」「梅干」。
おっと、あまりに庶民的か。

「血のしたたるようなステーキ」「フォアグラ」「キャビア」「トリュフ」。
これは、これで、短絡的か。
少し時間をかけて思い出してみませんか?

そして、そんな食への記憶を、皆さんと共有できればいいなぁと思っています。
そして何より、この文章を読んでいただいて、
「あぁ、お腹がすいたな」と感じていただければ幸いです。
今日をスタートに、皆さん、お付き合いのほど、何卒よろしくお願いいたします。
(By エッセイシスト・KUNI61)
更新日: 2015-09-01 07:50:54